トマトの育て方|夢印栽培20年

実践的なトマト栽培方法を写真と図版でわかりやすく解説

猛暑でも収穫量を上げるには?

トマトは、夏野菜なので暑さに強いと思われがちですが、実は割と繊細です

 

トマトは夏野菜なので、「暑さに強い」と思われがちです。

けれど実際には、暑すぎる環境が続くと、生長が止まったり実付きが悪くなったりすることがあります。

特に近年は、強い日差しが何日も続いた後に豪雨が来るなど、天候の変化が大きくなっています。

こうした猛暑の影響を受けると、元気だった株が急に疲れ、収穫量が落ちることも珍しくありません。

では、暑さの厳しい年でも、できるだけ収穫量を落とさず育てるにはどうしたら良いのでしょうか。


■ 猛暑でも収穫量を落とさない基本

暑さや豪雨に負けないトマトを育てるためには、まず丈夫な株を作ることが大切です。

病気に強い品種でも、株そのものが弱いと、猛暑の影響を受けやすくなります。

そのため、近道を探すよりも、まずは栽培の基本を見直すことが大切です。

特に重要なのが、「定植時期」「土作り」「水管理」の3つです。

定植適期にがっしりとした良苗を植え付けるのが理想です

 

・定植時期を見直す

トマト苗を植え付ける時期は、その後の生育を左右します。

一般的には、1段目の花房が咲き始めた頃が定植適期です。

若すぎる苗では株が不安定になりやすく、逆に老化苗では初期生育が鈍ることがあります。

もちろん、品種や育て方によって違いはあります。

秋どりや抑制栽培では、気温が下がる前に株をしっかり作る必要があるため、若苗を使う場合もあります。

ただし、猛暑に負けない株を作りたいなら、基本は充実した良苗を選ぶのが安心です。

・根を深く張れる畑を作る

猛暑に強い株を作るためには、根張りの良さが重要です。

トマトの根は、条件が良ければかなり深くまで伸びます。

深く根を張った株は、地中に残った水分を吸いやすく、暑さによるダメージを受けにくくなります。

浅くしか根が張れないと、少し乾いただけで水不足になり、葉がしおれやすくなります。

土作りでは、深く耕し、根が伸びやすい環境を作ることがポイントです。

特に硬盤層がある場所では、深く耕して空気と水が入るようにしておくと、生長が安定しやすくなります。

 

トマトの根は、垂直方向に1メートル、水平方向に2.5メートルくらい伸びます、深さ30~50㎝くらいが根の密度が高いので、50~100㎝は耕したいです

・定植後の水管理を工夫する

暑いからといって、毎日たっぷり水を与えるのが正解とは限りません。

植え付け前の土作り段階で、十分に水を含ませておくと、地下に水分を蓄えやすくなります。

その状態で植え付けると、地表は乾いていても、地下には水がある状態を作れます。

するとトマトは、自ら深く水を探しにいき、根がしっかり伸びやすくなります。

根が深く張るほど、猛暑時の乾燥に耐えやすくなります。

根が安定するまでは、むやみに灌水しすぎないことも大切です。

乾燥が強い時は、葉水程度にとどめながら様子を見る方法もあります。

土作りの時、水を地下に十分溜め込みます。その後トマトを植え付けると根の伸びが大幅に良くなります


■ 猛暑時に温度を下げる工夫

基本管理を丁寧にしていても、気温が高すぎると株が弱ることがあります。

人間にとって厳しい暑さは、トマトにとっても負担です。

特に真夏の高温期は、花が落ちたり、着果不良が起きたりすることがあります。

そんな時は、少しでも株の温度を下げる工夫をしてあげると、収穫量の低下を防ぎやすくなります。

・遮光を利用する

真夏の日差しは強く、株や果実に大きな負担をかけます。

特に西日は温度が上がりやすく、葉焼けや果実の日焼けにつながることがあります。

そんな時は、遮光ネットを使って直射日光をやわらげる方法が効果的です。

ただし、暗くしすぎると今度は日照不足になります。

全面を強く遮光するよりも、西日だけを防ぐ、または遮光率が低めのものを使う方が失敗が少ないです。

最近は猛暑向きとして、やや高温耐性のあるトマト品種も増えてきています。

暑さが厳しい地域では、品種選びも収穫量を左右するポイントになります。

・ミストや葉水を活用する

温度を下げる工夫として、ミストも役立ちます。

細かな霧を発生させることで、周囲の温度が少し下がり、葉の負担を軽減できます。

最近では店舗や家庭用でも、ミスト設備を利用する場面が増えてきました。

ホームセンターなどでは、家庭菜園向けの簡易ミスト用品も販売されています。

家庭用ミストシャワー 1700円~c)Kairos

 

専用器具が難しい場合は、霧吹きを使った葉水でも効果があります。

ただし、真昼の高温時に水をかけると蒸れや葉焼けにつながることがあるため、朝か夕方に行うのがおすすめです。

・土の乾燥を防ぐ

猛暑時は、地表が急激に乾燥しやすくなります。

敷きワラやマルチを使うと、急激な乾燥を防ぎ、根への負担を軽減できます。

また、急激な乾燥と大量の水やりを繰り返すと、裂果の原因になることもあります。

土の乾き具合を見ながら、極端な乾湿差を作らないことが大切です。


■ 猛暑こそ基本管理が収穫量を左右する

猛暑だから特別な方法が必要、と思いがちですが、実際には基本管理の差が収穫量に大きく影響します。

丈夫な苗を植え、深く根を張らせ、水管理を工夫しながら温度対策をする。

こうした積み重ねが、夏後半の収穫量の差につながります。

暑さに強いといわれるトマトでも、限界はあります。

「暑いのだから仕方ない」とあきらめず、少し工夫を加えるだけでも、収穫量が変わることがあります。