
バジルとともに育つ大玉トマトと中玉トマトたち
家庭菜園で野菜を育てる際、単体で育てるのではなく、異なる種類の植物を近くに植えて一緒に育てる手法があります。これを「コンパニオンプランツ(英: Companion plants / 共栄作物・共存作物)」と呼びます。お互いの性質がうまく噛み合うことで、病気や害虫を防いだり、生長を促したりと、まるで優れたパートナーのように助け合う植物たちのことです。そのコンパニオンプランツの代表格として世界中で最もよく知られているのが、「トマトとバジル」の組み合わせです。イタリア料理でも抜群の相性を誇るこの2つですが、実は土の中でも驚くほど完璧な協力関係を築いています。今回は、トマトとバジルを一緒に植えることで得られる4つの驚くべき効果と、上手に育てるための植え付けのコツを詳しく解説します。
■ トマトとバジルを一緒に育てる4つの相乗効果
お皿の上で出会っても最高に美味しいトマトとバジルですが、栽培中に隣同士に植えることで、科学的にも理にかなった素晴らしいメリットが生まれます。
1. トマトの味が格段に良くなり、甘くなる
カプレーゼやピザなど、料理での相性が良いのは言うまでもありませんが、畑やプランターで一緒に過ごさせるだけでも、トマトの実が驚くほど甘く、濃厚で味わい深くなると言われています。お互いが放つ成分や土壌環境の改善が、風味を豊かにする理想的な刺激となります。

トマトとバジル、料理の相性も良いので便利です
2. 天然のハーブ香で害虫をシャットアウトする「害虫予防」
バジルが持つ特有の強い爽やかな香りには、トマトに寄り付く困った害虫を遠ざける虫除けの効果が期待できます。ただし、バジル自体も非常に美味しいハーブなので、バジルを好む虫がやってくることもあります。100%完全に虫を防げるわけではないため、過信は禁物です。日頃からトマトとバジルの両方の葉の裏などをこまめにチェックし、万が一虫を見つけた場合はその場で優しく捕まえて取り除く(捕殺する)習慣も大切にしましょう。
3. 雨の多い日本に最適なお助け機能「水分調整」
トマトはもともと乾燥した地域が原産の野菜なので、水を与えすぎると土がベタベタになり、過湿によってデリケートな根が傷んだり、さまざまな病気にかかったりします。また、水分を少し控えめに管理したほうが、実に糖分がギュッと凝縮されて甘くなる性質があります。しかし、日本の夏は雨が多く、水分をコントロールするのがとても難しいのが悩みどころです。そこで水分をたっぷり欲しがるバジルを株元に植えておくと、バジルが土の中の余分な水分をどんどん吸い上げてくれるため、トマトにとって理想的な「ちょい乾燥状態」を自然に作り出すことができます。
4. お互いを強い日差しから守る「日照調整」
トマトもバジルも太陽の光が大好きな植物ですが、バジルは強い直射日光を浴び続けながら水切れを起こすと、葉が黄色く焦げて硬くなる「葉焼け(はやけ)」を起こしてしまいます。トマトの株元にバジルを配置してあげると、トマトの大きく遮光性の高い葉が日傘のような心地よい木陰を作り、デリケートなバジルの葉を強い西日や真夏の直射日光から優しく守ってくれます。

トマトが傍らに育ってこそ、バジルも元気に育ちます
■ スペースを活かす!上手な栽培のコツ
これほど近くに別の植物を植えると、「土の中で根っこ同士が激しくケンカして、どちらも栄養が吸えずに枯れてしまうのでは?」と心配になるかもしれません。しかし、その点もこの2つの組み合わせが神がかって優れている理由です。バジルは土の表面近くに細かく「浅い根」を張る性質ですが、トマトは土の奥深くへと力強く「深い根」を伸ばしていきます。土の中で根が張るエリア(階層)が上下にきれいに分かれているため、根がぶつかって干渉し合うことがほとんどありません。
・具体的な植え付けの配置
畑などで複数のトマトの苗を並べて育てる場合は、トマトとトマトの間の空いたスペースにバジルを植え込んでいくのがベストです。また、ベランダなどの鉢植えやプランター栽培であっても、トマトの株元(根元の少し脇のスペース)にバジルをそっと添えるように一緒に植えてあげましょう。
最近では、その手軽さと見た目の美しさから、最初からトマトとバジルの苗がひとつのポットにセットになった「寄せ植え苗」も園芸店で販売されており、初心者を中心に大変な人気を集めています。
さらに、近年のスマート農業や家庭菜園向けの最新研究では、植物同士が根から出し合う化学物質のバランスや、近くに植えたハーブがトマトの栄養吸収にどう影響を与えているかを、土壌センサーと連動して可視化するスマートハーブ栽培システムなども開発されつつあります。
このような最新テクノロジーによって、将来的には「今バジルが水を吸ってトマトを助けています」といった共生のステータスがスマートフォンの画面でリアルタイムに確認できるようになり、家庭菜園の楽しさはさらに何倍にも膨らんでいくでしょう。自然の素晴らしい知恵であるコンパニオンプランツを上手に活用して、収穫の喜びと美味しいイタリアンをぜひ手に入れてみてください。